リスニング

英語のリスニングが速すぎて聞き取れない?その意外な原因と対策法

投稿日:2019-06-06 更新日:

リスニング

 

英語のリスニングで、こんな風に悩んでいる方は多いかと思います。

リスニングが速すぎて全く聞き取れない。 一体どうしたら聞き取れるようになるのだろうか?いい解決方法は無いものか。

こう悩んでいる方が多いというよりも、これは、ある程度英語力がつくまでは、誰もがかかえる悩みなのではないでしょうか。

 

うまく聞き取れないからと、がんばって何度も何度も繰り返しリスニングしても、すべて聞き取れるようにはなかなかならないものです。

リスニングをして10回聞いてもわからないような箇所は、たいがい、100回聞いたとしても聞き取れません。

単にリスニングを繰り返す方法では限界があって、それ以上進展が無くなってしまいます。

 

では、リスニング力を向上させるには一体どうすればいいのでしょうか?

その手法について考える前に、リスニングでなぜ聞き取れないのか、その原因について、知っておくべきことがあります。

 

 

そもそも、「速すぎるから聞き取れない」は本当にそうなのか

リスニングをしていて、「速すぎて聞き取れなかった・・」と思う場合、
聞き取れなかった理由は、本当に「速すぎること」にあるのでしょうか?

実際にそれが原因であれば、「ゆっくり再生したら聞き取れる」はずです。

それを、実験して確かめてみましょう。

スロー再生で実験してみる

速すぎて聞き取れない英語を、スロー再生してみたとしたら、どのくらい聞き取れるようになるものなのでしょうか?

速度を落として音声を再生する方法はいろいろありますので、これは是非ご自身で実際に実験して確かめてみてほしいのですが、お手軽なのはYouTubeを使うやり方です。

YouTubeの動画は、右下の設定アイコンから再生速度を変更することができます。

YouTubeの再生速度設定

適当な英語音声の動画を使って、実際に試してみましょう。

 

さて、実際にスローで聞いてみるとどうなるでしょうか?

若干聞き取りやすくはなるものの、もともと聞き取れなかった部分のうちの大半は、スローにしてもやっぱり何を言っているのかわからず、聞き取れない、という結果になったのではないでしょうか?

速すぎて聞き取れない、と思っていた部分が、ゆっくりにしても聞き取れなかった、としたら・・、

次に浮かぶ疑問は、では聞き取れない要因はどこにあるのか?ということです。

 

リスニングには総合力な英語力が必要

リスニングで聞き取れない、その要因は様々です。

「速すぎること」も、もちろんその要因の一つですが、
しかしそれは、いろいろある要因のうちの一つにすぎない、ということです。

リスニングには、主にこんなスキルが必要になってきます。

  • 語彙力
  • 文法力
  • 発音
  • アクセント
  • 音の変化のルール(リエゾン、リダクション等)

項目がたくさんあってウンザリしてしまいますが・・、
要するに、総合的な英語力が必要になってくる、ということです。

 

では、こういった能力を全部習得するまではリスニングの練習をやっても意味が無いのか、というと、それはそれでまた違います。
(リスニングに対しての有効な練習方法は後ほど紹介します。)

 

聞き取れない部分を、単に「速すぎてわからないや」で済ませてしまうと、そこで思考停止してしまい、それ以上の進展が無くなってしまいます。

しかし、スロー再生の実験からわかるように、

「速すぎて聞き取れない」と思っている場合でも、実際は速さだけが原因ではなく、その背景にはいくつも要因がある

のです。リスニング力を上げていくためには、その先の、「ではどんな能力を上げたらリスニング力が上がるのだろうか、自分には何が足りないのだろうか」ということを意識することが大切です。

 

リスニングを妨げる意外な理由

もう一つ、リスニングを妨げる原因として、知っておくべき超重要なことがあります。

その原因というのは意外なものです。

それは、「自分の頭の中の思考」なんです。

 

リスニングしているときに、自分が何を考えているか、思い起こしてみてください。もしくは、実際にリスニングをやってみて、そのときに何を考えていたのかを振り返ってみてください。

人によって様々かもしれませんが、例えば、

「〇〇ってどんな意味だっけ?」

「今聞こえた単語は動詞かな?」

「この部分が毎回全然聞き取れない」

などのような言葉が頭の中に流れているのではないでしょうか?

そして、聞き取れた単語を駆使して、頭の中でパズルのように日本語に組み替えることをやっているのではないでしょうか?

 

頭の中のパズル

 

「いや、そりゃ当然そうでしょうが。必死で聞き取ろうとしているんだから。」
と思うかもしれません。

しかし、ここで知っていただきたい事実があります。

 

英語の上級者は、リスニングをしているときに、頭の中では何を考えているのでしょうか?

答えは、「ほとんど何も考えていない」んです。

ただ単に、聞いているだけ。

聞こえてくる英語をただ聞いているだけ、だけれども、内容を理解しているんです。

 

私たちが日本語を聞いているときのことを考えてみましょう。

会話しているときや、テレビから流れてくる声を聞いているとき、聞こえてくる日本語に対して、その日本語を理解しようとがんばって思考しているでしょうか?そんなことしていないですよね。

それと同じことなんです。ただ聞いて、理解している状態です。

実は、この状態こそが目指すべきところなんです。

リスニングしているときに、頭の中に思考が飛び交っていたり、日本語に変換するための並び替えパズルをやっていたりしたら、そもそも音を聞き取ることに集中できません。

そして、リスニングしているときに「もっとゆっくりしゃべってくれないと頭の中の処理が追い付かない」という事態におちいります。だから、「速すぎて聞き取れない」と感じるのです。

 

リスニングの能力を向上させるためには、この、頭の中の声、つまり、思考をなくしていく必要があるんです。

しかし、そんなことを言われても、

「思考しなかったら英語の意味を理解することなんてできないじゃないか。」
と思われるかと思います。それももっともな話です。

 

そもそも、英語の上級者は、なぜなにも考えずにリスニングできるのでしょうか?

それは、聞こえてきた英語を、聞こえてきた語順のまま、そのままで意味を理解しているからです。
そのままで、とはつまり、日本語に置き換えることなく、英語を英語のまま理解しているということです。

英語を英語のままで理解する。

これこそが最大のポイントです。このことはリスニングにおけるポイントというだけでなく、英語学習全体において最大のポイントといっても過言ではないかもしれません。

そもそも、英語学習はこれをターゲットにすすめるべきものなのです。

しかし、英語を英語のまま理解するなんていう離れ業、どうやったらできるようになるのでしょうか?その方法を次に紹介します。

 

対策となる練習方法

ここまでの内容で、

  • リスニングには総合的な英語力が必要
  • 上級者はリスニングのときにほとんど何も考えておらず、単に英語を英語のまま理解している

ことを説明してきました。

これだけ見ると、リスニングはもはや手に負えない高等技術のように思えます。
これを実現させるような学習法などあるのでしょうか?

 

あります。そして答えは割とシンプルです。

その方法は、「音読」です。

 

「え?音読?!」

と意外に思われるかもしれませんが、実は音読は非常に強力な学習法です。

 

ここでいう音読とは、単に読むのではなく、

  • しっかりと声に出して読む(黙読ではほとんど意味が無い)
  • 自然に暗唱してしまうくらい何度も何度も繰り返し音読する(2、3回程度では効果は全くない)
  • ネイティブの音声に極力近づける(モノマネするようなレベルで)

こういった、深い音読です。

簡単に言うと、ネイティブの音声を、自分の口で完全コピーできるようになることを目指すものです。(スピードやリズムなど含めて)

 

「リスニングの学習がしたいのに、なんで音読しなくちゃならないの?」

と思われるかもしれませんが、

それは、音読にはこんな効果があるからです。

  • 英語力を総合的に上げる効果がある
  • 英語を英語のまま理解する基礎を作っていく

音読を繰り返すと、その英語をリスニングしたときに、頭を空っぽにしてスッと意味を理解できる状態に近づくことができます。

 

この効果を理解するためには、実際に体感するのが一番です。

ほんの2、3行の文でもいいので、深い音読をやってみてください。

そして、どういう効果があったのかを感じてみてください。

 

音読のやり方

題材とする英文は、単語の意味や文法的なことが自分に理解できるレベルものを使います。わからない単語があれば事前に調べておきましょう。

黙読ではなく、必ず声に出して音読します。(黙読だと効果が大幅に落ちてしまいます)

  • テキストを見ながら何度か音読してみて、スムーズに言えるようになったら、発音やリズムをお手本と極力近づけるように音読を繰り返します。
  • 英語が音として頭の中になじんできたら、意味や感情を込めながら、さらに音読します。このとき、頭の中で英文の意味や情景をイメージしながら(日本語は思い浮かべずに)行います。
  • 英文を自然に暗唱してしまうぐらいまで音読を繰り返します。

(ここまでの過程で、合計すると数十回ほど音読することになります。)

 

音読に効果があったとしても、このやり方では、音読したことのある英文しかリスニングできるようにならないのでは?と思われるかもしれません。

それはある意味その通りです。しかし、音読を繰り返しているうちに、英語そのものへの理解が深まっていき、総合的に英語力が上がってくるため、初めて聞いた英文であってもリスニングしやすくなっていきます。

音読は、遠回りなやり方ように思えますが、実はムダが無く、間違いのない王道の学習法です。

 

音読は試してみる価値がある手法

ここまで説明してきた内容は、理屈を理解するだけではなく、体験してみないとその意味や効果が実感できません。
ここに書かれた音読を、一度でいいので是非試してみてください。

そこで体験できるのは、英語を英語のままで理解すること、言い換えると、

日本語を介さないで物事を理解する

という、あなたがこれまで体験したことのなかった不思議な世界です。
その一端を垣間見ることができるでしょう。

 

その体験は、あなたの今後の英語学習の指針になり得るものです。

いままでやみくもに行っていた英語学習が、本来、どこを目指すべきものなのか、見えてくるかもしれません。

音読は地味な印象がありますが、実はとても意味深い学習であることを知ってほしいと思います。

そして、音読のトレーニングを繰り返すうちに、リスニング力が徐々に底上げされていくのを実感してください。

 

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