英文法

現在完了形って結局何なの?その理解の仕方をできるかぎり丁寧に解説

投稿日:2019-06-11 更新日:

赤いワゴン

 

「現在完了形」って、よくわからないものですよね。

文法書に書かれているような内容は一応理解していたとしても、正直、今一つピンとこないという方も多いと思います。

現在完了形の文を見たときに、その内容を、私たちはどう理解しているのでしょうか?

have+過去分詞があるから、現在完了形だな・・。
現在完了形は、継続、経験、完了、結果の用法があるけど、これはどれだろう?
neverがあるから、経験の用法っぽいな。
とすると、意味はこうなるのかな・・。

・・と、頭の中でこんなことを考えたりします。

 

どの用法かを、分別作業みたいなことをやって機械的に解読していくわけですが、よくよく考えてみると、「なんでこんなことをやらなきゃならないのだろう・・。」って思います。

というのも、ネイティブが現在完了形の文を見たとき、頭の中でこんな分別作業をしているわけがないからです。もっと自然な理解の仕方をしているはずです。

しかし、日本語には、現在完了形にそのまま相当するような言い方がありません。
だから、現在完了形を日本語に置き換えて理解しようとすると、ケースごとに分けていくつかの用法として暗記するような形にどうしてもなってしまうのです。

 

では、ネイティブは現在完了形をどのように理解しているのでしょうか。

いくつもある用法は、それぞれバラバラに見えますが、実は、根幹にあるイメージは共通したものです。
ネイティブと同じように、そのイメージ、気持ちが理解できれば、現在完了形が持つ微妙なニュアンスを理解できますし、正しく使うこともできるようになります。

 

ここでは、現在完了形が持つイメージや、理解のためのポイントを、極力丁寧に説明していきます。
そして、そのイメージが各用法とどうつながっていくのかを見ていきます。

ネイティブの感覚を理解することで、現在完了形をシンプルに、深く理解しましょう。

 

 

現在完了形が持つニュアンス

現在完了形の説明には、時系列の図を使うのが定番ですが、しかしあえてそういう説明の仕方はせず、まず、日本語での会話について考えるところから解説していきます。

それは、時系列の図だけでは表現できないような、繊細な言葉の感覚を理解する必要があるためです。

言葉のやりとりに含まれる微妙なニュアンス

まず、以下の日本語を何も考えずに読んでください。

例文A

お昼ご飯を食べた

ラジオを修理した

買い物に行った

(ちなみに、3つ文を並べていますが、この3つの文に特に関連性はありません。例文が1パターンだけだとさみしいので、3パターン例示しているだけです。)

 

この3つの文それぞれに、直前に一文を加えて3つの会話の形にしてみます。

例文B

a)今おなかすいてる?
b)お昼ご飯を食べた

a)このラジオ使える?
b)ラジオを修理した

a)ジョンはいる?
b)買い物に行った

元の文は何も変えていないのに、会話の形にしたら微妙にニュアンスが変わったことに気づいたでしょうか?

3つの会話文は、会話としては一応成立しています(むしろ日常的にこういう会話は発生します)が、よくよく見てみると、なぜ会話が成立するのか疑問にも思えてきます。

というのも、質問に対して、ごく単純に答えるのなら、「はい」か「いいえ」の形になりますが、この会話の場合では過去のことがらを述べることで返答としているからです。「はい」か「いいえ」で答えていないのに、どうして会話が成立するんでしょうか?

 

その点をもっとわかりやすくするために、補足を加えてみましょう。

例文C

a)今おなかすいてる?
b)お昼ご飯を食べた からすいていないよ。

a)このラジオ使える?
b)ラジオを修理した からつかえるよ。

a)ジョンはいる?
b)買い物に行った からいないよ。

このようにして考えてみれば、なぜ会話が成立したのかより明快になります。上記で補足した部分を、特に言わずに、でもこのニュアンスも含みで伝えているから、返答として成立しています。

 

ここからさらに、時制についても考えてみましょう。

質問では現在のことについて聞いているのに、返答では過去のことを言っています。ふつうは現在のことを聞かれたら現在について答えるものです。

でもよくよく考えてみると、この過去の出来事は理由として提示しているのであって、実は現在の状況を答えようとしていることがわかります。

それを明確にするために、さらに補足を加えてみるとこうなります。

例文D

a)今おなかすいてる?
b)お昼ご飯を食べた 今もおなかいっぱいの状態 だからすいていないよ。

a)このラジオ使える?
b)ラジオを修理した 今も直っている状態 だからつかえるよ。

a)ジョンはいる?
b)買い物に行った 今も買い物に行っている状態 だからいないよ。

ここまで補足するとめちゃくちゃくどいですね・・。でも、こういう含みがあるわけです。

こうして返答の言葉の意図をかみ砕いてみてみると、

  • 過去の出来事を言っているが、それは理由として提示しているだけ
  • その過去の状態が継続していて、今もその状態だよ、だからYes(またはNo)だよ

こういう意図を含んでいるから会話として成立していることがわかります。

一見、過去のことを言っているように見えて、実際には現在について伝えようとしているんですね。

 

そして、実はこれこそが現在完了形が持つ気持ちです。

過去の出来事を使って現在について伝える、そういうときに使うのが現在完了形なんです。

例文の会話の、返答の文を英語で記述してみると、こうなります。

例文B(英語)

a)今おなかすいてる?
b)I have eaten lunch.
 →お昼ご飯を食べた(今もおなかいっぱいの状態)

a)このラジオ使える?
b)I have fixed this radio.
 →ラジオを修理した(今も直っている状態)

a)ジョンはいる?
b)He has gone shopping.
 →買い物に行った(今も買い物に行っている状態)

過去形ではなく、現在完了形を使うんですね。
そして現在完了形は、カッコ内の意味も含んでいます。

いや、含んでいるというより、むしろ伝えたいのはカッコ内の部分なんです。

過去のアレコレが経緯としてあって、「今はこういう状態だよ」ということを言いたいわけです。

 

過去形との比較

ちなみに、一番最初の例文(例文A)を英語にする場合はどうでしょうか?
単に過去の事柄を言っているだけのケースです。

この場合は、現在のことについて伝えたいニュアンスは無く、単純に過去のことを述べているだけなので、過去形で文を作れば問題ありません。

例文A(英語)

お昼ご飯を食べた
→ I ate lunch.

ラジオを修理した
→ I fixed this radio.

買い物に行った
→ He went shopping.

同じ「お昼ご飯を食べた」という日本語を英語にする場合でも、何を伝えたいのか、その意図によって、過去形にするか現在完了形にするか変わってきてしまう、ということです。

そういわれると、ややこしく感じてしまいそうですが、ポイントは1つです。

話の焦点が現在にある場合、この例でいえば、「今もおなかいっぱいの状態だよ」を伝えたい場合は現在完了形になる、ということです。

単に過去のことを振り返って言いたい場合は、過去形を使えばOKです。

 

現在完了形の気持ちがわかる「鍵の例文」

ここまでくどくどと説明してきましたが、それは現在完了形のニュアンスを「理解」してもらうためです。

ですので、理解できればOKで、これまでの説明を覚えようとする必要はありません。

そのかわり、以下の例文だけは覚えてください。

これは、過去形と現在完了形の違いをハッキリと感じられる例文です。
この例文を思い出せば、現在完了形のニュアンス、感覚をいつでも思い出せるはずです。

この2つの文です。

例文(鍵をなくした)

I lost my key.

I have lost my key.

上は過去形、下は現在完了形の文です。
(ちなみに、「なくす」という意味の動詞はloseで、過去形がlost、過去分詞もlostです。)

この2つの意味の違いをハッキリと覚えましょう。
そのために、こんなことを考えます。

街中を歩いているとき、ふと、家の鍵がないことに気付いたとします。
このときに思う、「鍵をなくした!」これを英語で言うとどうなるでしょうか?

日本人の多くが、

I lost my key.

と答えそうですが、ネイティブは

I have lost my key.

こう言います。

そしてこの2つはまったく異なる意味になります。

 

現在完了形だとどういうニュアンスになるのでしょうか。

I have lost my key. は、

「今、鍵が無い、ヤベェ!!」

という感じの意味になります。

 

どうしてそうなるのか、さきほどまでの説明を振り返って考えてみましょう。

現在完了形とは、

過去の出来事を用いつつ、現在の状況について話したい場合

に用いるのでした。

ですから、現在のことを伝えたいわけです。

たしかに鍵をなくしたのは過去のどこかの時点ですが、現在完了形で言った場合、
焦点は、「過去に鍵をなくしたこと」よりも、「今、鍵が無いこと」にあります。

だから、
「(過去に鍵を落として、)今、鍵が無い、ヤベェ!!」
となるわけです。

 

一方で、

I lost my key.

と過去形で言った場合はどうなるかというと、

過去のことを振り返って、
「そういえば、あのとき鍵を落としたんだったなぁ・・。」

みたいな雰囲気になってしまいます。

過去形の場合は、単に過去のある時点のことを言っているだけであって、現在とまったく関係がありません。

 

過去形と現在完了形の違い、ニュアンスをいつでも思い出せるように、この鍵をなくした例文は是非覚えてください。

 

鍵

 

 

現在完了形の各用法をあらためて考えてみる

現在完了形の用法(継続、経験、完了、結果)について、よりネイティブに近い感覚で、あらためて考えてみましょう。
(ここでは用法を4つに分けていますが、完了と結果の用法は近しいもののため、書籍によってはこの2つを分けずに説明していることもあります)

 

have+過去分詞の形をこうとらえよう

現在完了形は4つの用法に分類されますが、根幹のイメージは1つで、そこから各用法に派生しています。

それを理解するために、まず、現在完了形の「have+過去分詞」の形が持つイメージをとらえましょう。

「have+過去分詞」のイメージ

「have+過去分詞」の、過去分詞の部分は、「過去の出来事」ととらえます。

そしてhaveは、(このhaveは品詞でいうと助動詞にあたるものですが、)動詞としてのhaveのように、「持っている」ととらえます。
ここで重要なのは、「今」持っている、ということです。現在完了形は、現在に焦点があるためです。

この2つを合わせた「have+過去分詞」は、
「とある過去の出来事を(現在)持っている」ととらえます。

はい。ここで、

過去の出来事を現在持っているってどういうこと??

と思われると思います。

これはどういうことかというと、
「とある過去の出来事を現在まで引きずって持っている」ということです。

ここがポイントで、この引きずっている感覚が、過去の出来事を現在とつなげています。

まとめると、

「have+過去分詞」のイメージ

とある過去の出来事を、引きずる形で現在持っています

となります。

ちょっと不自然な日本語ですが、こういうイメージを頭の中に持って英文を解釈すると、だんだんわかってきます。

 

例文で考えてみましょう。

I have lived in Tokyo.

という文であれば、過去分詞を含んだ「lived in Tokyo」の部分が「東京に住んでいた」という過去の出来事です。

そして、文が持つイメージはこうなります。

「東京に住んでいた」という過去の出来事を、引きずる形で現在持っています。

自然な言葉に直せば、

「私は(過去のある時点から)東京に住み続けています」のような意味になります。

 

この方法で各用法の例文を解釈してみよう

継続、経験、完了、結果の各用法について、例文をさきほどの解釈で見てみましょう。

各用法は、それぞれバラバラに見えますが、どれも先ほどの方法で解釈できます。

 

継続

例文

We have been best friends for 3 years.

過去分詞を含んだ部分、been best friends「親友でいた」が過去の出来事です。

現在完了形を解釈

私たちは、「親友でいた」という過去の出来事を、引きずる形で現在持っています。3年の間。

より自然な訳に直す

私たちは、3年間ずっと親友です。

 

経験

例文

I have been to London twice.

過去分詞を含んだ部分、been to London「ロンドンにいた」が過去の出来事です。

現在完了形を解釈

私は、「ロンドンにいた」という過去の出来事を、引きずる形で現在持っています。2度。

※この場合は、「ロンドンにいた」という出来事を、経験として(現在も引きずって)持っているということです。

より自然な訳に直す

私は、ロンドンに2度行ったことがあります。

 

完了

例文

She has already finished her homework.

過去分詞を含んだ部分、finished her homework「宿題を終わらせた」が過去の出来事です。

現在完了形を解釈

彼女は、「宿題を終わらせた」という過去の出来事を、引きずる形で現在持っています。すでに。

より自然な訳に直す

彼女は、すでに宿題を終わらせた。(そして、今はもはや宿題をする必要が無い状況だ。)

※現在に焦点があるため、カッコ内のニュアンスを含んでいます。

 

結果

例文

He has gone to France.

過去分詞を含んだ部分、gone to France「フランスに行った」が過去の出来事です。

現在完了形を解釈

彼は、「フランスに行った」という過去の出来事を、引きずる形で現在持っています。

より自然な訳に直す

彼は、フランスに行った。(だから今はもう、ここにはいない)

※現在に焦点があるため、カッコ内のニュアンスを含んでいます。

 

たくさんの例文を読むことで感覚を自分の中に落とし込む

現在完了形の考え方が理解できたら、それを自分の中に感覚として落とし込みましょう。

単に理解したというだけでは、そのうち忘れてしまいますし、完全に忘れていなかったとしても、その都度思い出さないといけません。

感覚に落とし込むにはどうすればいいのでしょうか?それを解決するのは「量」をこなすことです。

たくさんの現在完了形の例文を読んで、イメージして言葉の持つ気持ちを感じる、それを繰り返すことで、自分の中の感覚を育てることができます。

ポイントとなるのは、(繰り返しになりますが、)焦点が現在にあること、です。

過去の出来事を持ち物として持っているようなイメージで、それを通して、今現在の何を伝えようとしているのかをそれぞれの例文で感じ取ってみてください。

感覚に落とし込むことで、現在完了形を自分のものにしてしまいましょう。

 

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